卒業後の進路や転職先を音楽業界にしようと思っている方の「将来、音楽業界で仕事をしてみたいけど音楽業界って厳しい仕事なのかな?」という疑問にお答えします。
僕は、高校卒業後に音響の専門学校へ進学して卒業後に音響会社とフリーランスで約4年働いていました。
この記事では、音響(PA)とレコーディングエンジニアの仕事をしてわかった事と退職した理由をまとめます。
結論から言いますと厳しい世界です。
音楽業界で仕事をしてわかったこと
1.やりがいを感じる仕事
ひとつひとつの仕事がライブやCD等の完成品としてできあがるので達成感とやりがいを感じる事ができます。
ずっと大好きだったバンドのライブレコーディングの仕事をした事は人生で貴重な体験になりました。
音響(PA)の場合
ライブハウスや野外ステージでのライブをスタッフ全員で作り上げていき本番でお客さんの声や演者さんの熱気を感じる事ができます。
音楽業界に興味のある方はライブにもよく行く人が多いと思うので想像がつきやすいでしょうか。
レコーディングエンジニアの場合
長い期間をかけてアーティストとスタッフでレコーディングをしてCD等になるまでが1つの仕事になります。
レコーディング期間中は問題が起きて行き詰ったりしてスムーズに進まない事も多々ありますができあがったCDを見た時は達成感があります。
2.兎に角、拘束時間が長い
定時に退勤してアフター5を楽しむぞ!なんて考えてる人には向いていません。
朝から現場に入り夜に撤収完了してヘトヘトで帰って寝る生活が殆どでした。元気な人は夜遊びに消える人もいたけど僕には無理でしたね・・・。
音響(PA)の場合
みなさんが楽しんでいるライブをする為には、会場の設営をしてからリハーサルが必要なので夕方開演のライブでも朝早く集合する事が多いです。
そして、お客様が退場された後には撤収作業があるので夜遅くに撤収完了と拘束時間が長いです。
現場にもよりますが朝早く集合して夜遅くに撤収という流れが多かったですね。
ライブハウスの場合は、機材などが常設されているので出勤時間が早朝なんてことはあまりなかったです。
レコーディングエンジニアの場合
レコーディングは主にレコーディングスタジオで行われているので1から機材の準備をする事がなく出勤時間は9時頃と割と普通でした。
アーティストが到着してレコーディングが始まり遅い時は終電が無くなるまでやっていました・・・。
録音作業が終わるとミキシング作業等があるんですがこれが一番大変でした。
ミキシング作業というのはざっくり言うと録音した曲の楽器やボーカルの音量バランスを調整する作業です。(他にも作業はありますがここでは細かい事は省きます)
音楽には答えがないのでミキシング作業は答えの無い答えを探す作業でとてつもなく時間がかかるのです・・・気付けば終電が無くなり深夜3時なんてこともしばしばありました。
※レコーディングスタジオによっては終了時間が決まっているスタジオもあります。
3.休みが少ない
週休2日休んで有給もしっかり取るぞ!なんて人には向いていません。
所属する会社によって差が出てきますが中小企業の場合は休みが少ない事が多く有給取得も難しいです。
音響(PA)の場合は、平日はもちろん土日祝日・クリスマス・年末年始等はライブやイベント事が多いので基本的には仕事が発生しています。
いつ休めるのか?隙を伺って休みを取る感じなので一般職の人達と予定が合わなかったりプライベートの予定が立てにくいです。
レコーディングスタジオは少人数スタッフで運営している事が多いのでしっかり稼働しているスタジオの場合は有給取得も難しいです。
休みについては定休日が決まっているスタジオもあったり仕事がある限り働くよとかバラバラでした。
4.給料は少な目
しっかり稼ぐぞ!というよりは修行して一人前になるぞ!という感じです。
大手音響会社に正社員入社でもしない限りは給料の金額は少な目なのが殆どです。
音響(PA)とレコーディングエンジニアの両方に言える事ですが、正社員スタートは狭き門で多くの場合がスタートはアルバイトのアシスタントからです。中には修行させてもらっている身として無給の場合もありますよ。
業界歴の長い人に給与額を見せてもらった事がありますが少なくてびっくりしました。フリーランスになって高いギャラをもらっている人なんてほんの一握りです。
5.厳しい世界
夢をもって入ってくる人も多いですが離職率も高い業界です。
入社して数カ月持たない人もいれば僕の様に何年か続けて退職していく人も多いのでベテランと言われる方はほんの一握りです。
現実は、体力と金銭面共に厳しい中でモチベーションを維持して日々勉強をしていかなければなりません。
音楽が好きで業界に入ったとしても好きなジャンルの音楽の仕事ばかりあるわけでもありません。
音楽業界を退職した理由
理想をもって音楽業界に入りましたが現実を知っていく中で「時間と金銭面」で将来に不安を感じてしまったからです。これはわかった事であげさせてもらった2~4の点ですね。
一番の大きな理由は将来性です。
メインのエンジニアになるのは困難
音響会社やレコーディングスタジオには先輩のメインエンジニアがいてその他はアシスタントエンジニアとして仕事をする事になります。
スタートはもちろん雑用から何でもするアシスタントエンジニアのアシスタントくらいからです。
そして、メインのエンジニアになる為には日々の努力も必要ですが現役のメインエンジニアが引退等で席が空かない限りはほぼ無理です。
若手にもチャンスを用意してくれる場合もあるかもしれませんがメインエンジニアの人も席を譲ると仕事がなくなるので・・・・。
自身がメインエンジニアとして仕事をして行く為には技術を磨いて独立して仕事を獲得していくしかありません。
大変な努力と根気、そして運も必要になってきます。
まとめ
やりがいを感じる仕事だという事以外はほとんど厳しい内容ばかりを書きましたが現実です。
僕の入学した音響専門学校の同級生で音楽業界に就職したけど途中で転職している人も沢山います。
音楽業界で作った出会いの縁から裏方以外の仕事へ移った方もいますしもちろん続けている方もいらっしゃいます。
現実は厳しい世界ですが人生で挑戦する事には意味があると思っています。
僕も音楽業界に入って得た経験や人との出会いは今でも大事な財産です。
ただ、音楽業界への理想を抱いて専門学校へ入るも現場研修で現実を知りリタイアしていく人も多くいました。
挑戦するにも時間とお金がかかるので現実的な部分も知ったうえでよく考えて挑戦した方が良いです。
この記事は僕の経験した範囲で書いた内容でどこの会社でもそうだというわけではありません。
他の現役の方にも話を聞いて見て下さい。できれば専門学校の事務員さんとかじゃなく現場の人に話を聞いた方がリアルですよ。
長くなりましたがこれから音楽業界を目指そうと考えてる方の参考になれば幸いです。